風のマルシェ

風のマルシェ

 余所者の僕にとって、静岡は観光資源の宝庫と映る。例えば浜松からの帰り道、東名高速を使わず御前崎までの寄り道コースをとれば、少し上がった高台から、こんな夕暮れの海を味わうことができる。しかも貸し切り状態だ。さしでる光の一条は、海原を黄金色に染めて揺らぎ続ける。詩人ですね。

 しかるに静岡の連中ときたら、他県からの集客に積極的な感じがまるでしない。言っちゃ悪いが隣の山梨と比べれば、魅力的スポットははるかに静岡の方が多い。なのに山梨は静岡に比して、3倍もの集客力を誇る。ホント、努力してるよなぁ。

 今や関東からの観光地トップに挙げられる熱海など、静岡県においてはほんの序の口だ。ここを拠点に伊豆を一周するだけで楽しい。海・山・川の幸、七滝温泉や常連の滝、美術館や博物館の見ごたえだってある。そこまで遠出せずとも、僕が住んでいる名もなき裏山を2時間かけて登頂すれば、メディアにはかすりもしない絶景が広がっている。

 逆説的に、売り込まないからこそ守られている景観・静けさとも言える。異人さんで溢れかえり、住民がバス一つ乗るのに苦労するメジャーな観光地など、考えてみたら無縁でよろしい。

海の上は少し墨汁を加えた牛乳のようにぼんやり暮れ残って、そこらにながめやられる漁船のあるものは、帆を張り上げて港を目ざしていたり、あるものはさびしい掛け声をなお海の上に響かせて、せわしく配縄を上げているのもある(有島武郎 / 生まれいずる悩み)。

文学だなぁ、ポエムだなぁ。



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