リカちゃんの功罪

リカちゃんの功罪

 もう、とうに時効だろうから書いちゃえ。

 この稼業長くやっていて、社会の闇とまではいかないけれど、普通の人生からちょっと外れた人と知り合う機会が少なくない。前にも書いたとおり、僕が人を採用する基準は来た順だから、ユニークな方が従業員になったりもした。

 ふた昔も前のこと。旅館の日常清掃の女性たちを送迎する、運転手さんを募集した。最初に事務所に現れたのは、小柄で顔立ち整った30代の男性。開口一番、「私、女装が趣味なんです」ときたもんだ。性癖はノーマルで、ともかく女性の格好で街を歩くのが好きなだけなんだとか。どうして面接の冒頭、明らかに不利になりそうなこと申告するんですか? 彼曰く、女装はあくまで趣味であって、仕事はまじめにやる自信があります。で、その場で採用。

 確かに運転は慎重、優しい性格で、帰りが遅くなると従業員さんの家まで送ってやったりもした。さぞや有難がられると思いきや、「あの人、気持ち悪い」と複数からの訴え。休日になると女装した金髪の彼が、「私、リカちゃんって呼んで~」と、街を闊歩しているのを見かけるそうだ。そんな人に、家まで乗せられるのははた迷惑なだけと相談持ち込まれ、いづらくなった彼は、間もなく退社した。

 当時、リカちゃんのどこが悪いんだ!と思いもしたが、たぶん僕の感覚がズレていただけなのかもしれない。
 っていうか、間違いなくそうだったんだろう。



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