月別アーカイブ: 9月 2012

Oldies but Goodies その4

 エリック・ドルフィー(Eric Dolphy 1928年6月20日 – 1964年6月29日)。 遠征中のベルリンで急死。 享年36歳。

 遺作となった「ラスト・デイト」。 そのレコードの最期に刻まれていた、唯一の肉声。

 ”When you hear music, after it’s over, it’s gone in the air. You never capture it again. “(あなたがたった今感知したはずの“音楽”は、掌中に取り込まれる間もなく瞬時に宙へと融解し、いくら焦がれても二度とその実態を捉まえることはできない)

 意訳(したつもり)です。 ドルフィーは音楽の本質を、短いセンテンスの中で見事言い尽くしている。 文字でも絵画でも映像でもない、抽象性の極めて高い“音楽”という表現。
 音は瞬時に顕ちあがり、起こった瞬間には消えている。 その連続性の中で、わけてジャズというパフォーマンスにあっては自我そのものが、即興演奏によってむき出しになっていく。
 一方、スコアに忠実を要求されるヨーロッパ音楽(=クラシック)にも、個の発露は充分感知できる。 ヴィヴァルディ「四季」を、カラヤン指揮ベルリン・フィルとビオンディ&エウローパ・ガランテで聴き比べれば、同じ曲かと思うほどに印象は異なる。 しかしそれはあくまで、ヴィヴァルディという人が作曲した「四季」という作品を前提にして、解釈や編成・演奏技術・録音の差を楽しむものである。 まず作曲者が上位にいて、次にそれを再現する演奏家の順である。
 ジャズにあって、曲は自己表現の方便でしかない。 ヘンリー・マンシーニの「ムーン・リバー」をアンディ・ウィリアムス(今日の訃報でご逝去を知りました)の歌った通り再現しても、それをジャズとは誰も認めないだろう。 逆に「こんなのが『ムーン・リバー』!?」くらいに変形していても、その奏者の独自性が担保されていれば、むしろ認知はされ易い。
 集団による世界の構築がヨーロッパ音楽ならば、個があくまで個に留まり、言葉にならない本能や想念を楽器や声に託すのに、ジャズという形態は適している。 それは表現する側からは、とってもコワイ音楽でもある。
 例えるなら、スーツをまといネクタイを締め、肩書記した名刺をもって客先行けば、先方からも「これはこれは」と節度ある出迎えを受けるだろう。 そんな僕が、よれたTシャツに短パン・つっかけの普段着で同じ事務所を訪えば、玄関先で門前払いも想像に難くない。 本質変わらぬ同一人物を分けるものは、見てくれと肩書のうわべでしかない。 今や時代遅れの水戸黄門の印籠みたいなものだ。 医療など無関係な僕でも、病院で白衣を着て歩いていれば、誰もがお医者様と勝手に判断してくれるに違いない。
 タキシード着て、乙に澄ましたしぐさで集団が一斉に音を奏せば、何となく高尚な雰囲気醸し出し、立派な体裁つくろいやすいのがヨーロッパ音楽(=クラシック)だろう。 型にはまった外観から本質に至るためには、受け手側にも相応の訓練がいる。 
 ジャズに正装は不要である。 だれも見てくれなどに、注意は向かない。 「さぁ、お前はどんな音を聴かせてくれるんだ?」 身構える聴き手に対峙するのは、実は訴えるべき何ものもなく、生活のためと惰性で奏したプレイならば、その空疎が露わもなく表出されざるを得ない。 常に己の、あるがままを試される。 だからコワイ。
 もちろん、スゴイ作曲家のスゴイ演奏となれば、人生変わる程の衝撃うけるのに、クラシックにしてジャズとの隔たりなど無くなるのだけれど。 
 
 そうしたジャズ・ファンに、「ドルフィーが嫌い」という人とお会いしたことがない。 限られたお付き合いにあって、勿論たまたまであろうが。   
 僕もドルフィー、好きである。 人生のサイクルで、無性に聴きたくなって仕方のない時がくる。

 歴史を変えた人ではない。 同時代にオーネット・コールマンやジョン・コルトレーンがいて、ドルフィーは何度も共演している。
 トリオだろうとコンボであろうと、ドルフィーが「馬のいななき」に例えられるバリトン・サックスひと吹きすれば、流れはそのままに聴き手は覚醒する。 それまで決してまどろんでいたわけでもないのに、その新鮮でいて限りなく遠くまで延びていく響きに、ハッとさせられるのだ。

 「グッドベイト」のマスターは、美術学校の出身だそうだ。 店の壁に飾られたドルフィーの肖像画は、描き手の畏懼そのままに微笑んでいる。
 「知り合いのコレクターが未発表のテイク発掘してさぁ、50枚限定のレコードにして発売したんだよね。 1枚25,000円でさぁ。 買ったけど、全然高いと思わんのね。 毎日カップヌードル食って、貯めた金だけどね」
 三十数年間、儲からない、というより事業であればとうに破たんしていると言い切れるジャズ喫茶を経営してきて、マスターの人生に悔いはないのか。 その内面をうかがい知ることなど出来ない。 小出しに市場に出せば、恐らくは数千万円の価値を持つはずのLPレコードも、手放す気など毛頭ないようだ。
 人間の業を感じる。 一度マスターは、社会人を経験しているそうだ。 そうした経過のうえで、今の人生を選んだのだ。 ならば、違う生き方もあったはずと悔やむこともあるまい。 「この生き方しか俺にはない」 自分にそう言い切れるなら、不幸なはずはない。

 結局、3時間半店にいた。 ぼちぼち行かなくちゃ・・・腰を上げかけた僕に最後にかけてくれたのが、「エリック・ドルフィー・イン・ヨーロッパ Vol.2」のA面1曲「ドント・ブレイム・ミー(テイク1)」。
 虚空の一点を、どこまでも走り抜けていくフルートのソロ。 誰のものでもない、ドルフィーだけの表現。 独りを恐れず、弧峰として屹立しながらも、来るものは拒まぬ寛容の音楽。 数多くの共演者に愛され、今も聴き手に生涯を通し敬愛され続けるその理由は、マスターの組んだオーディオ装置から流れる音に溢れていた。
 
 「また来ます」

 今度いつ、その機会が来るのか。 ドルフィーが無性に聴きたくなったら、その時「グッドベイト」を再訪することになるのだろう。

カテゴリー: 担当者の趣味、その他 | Oldies but Goodies その4 はコメントを受け付けていません。

おいらはボイラー、ボロイら~

 おいらはボイラー、昭和(SHOWA)のボイラーです。 奥隣は相棒のボイラー2号君です。

 温泉街のホテル地下に住み込んで、早いもので26年になります。

 宿泊のお客様・ホテルを利用される皆様が快適に過ごされるよう、毎日休まず働いております。 おかげさまで大きなトラブルもなく、縁の下の力持ちで今日まで頑張ってまいりました。

 それが最近は・・・もうトシでしょうか。 身体のあちこちが痛み出し、時々は高い熱を出す事もあります。

 そんな時、おいらや2号君をやさしく手当てしてくれるおじさんがいます。

 大好きなボイラーマンです。

 ところがおじさんの方も、寄る年波にはあらがえず、此の頃なにかと辛そうなご様子。

 「わしもトシじゃ。 身体の節々が、動くたんびに悲鳴を上げよる・・・」

 噂ではボイラーのおじさん、近々引退されるそうです。 エス・ビー・エムという管理会社から来る、元気な後任に引き継ぐんだとか。 ボイラー仲間にこのエス・ビー・エムの評判を聞けば、ものすごく面倒見の良い会社との事です。

 おじさんの引退はさびしい限りですが、おいらや2号君は、まだまだ稼がなくちゃあなりません。

 長い付き合いの優しいおじさんに感謝して、これからお世話になるエス・ビー・エムの後継者さんによろしくと申し上げます。

 「エス・ビー・エムの新人さん、おいら達をかわいがってね!」

 ※  エス・ビー・エムでは資格のある優秀な設備要員をお客様にお届けいたします。

 是非、施設の管理にご使命をお願い致します。

カテゴリー: 営業, 常駐設備, 日常業務 | おいらはボイラー、ボロイら~ はコメントを受け付けていません。

現場紹介№4

 今回の現場紹介は、神奈川の西部(湯河原町)にある公共施設と、同じ湯河原の橋をはさんだだけで熱海市(泉)になってしまう老舗ホテルです。

 1つ目の現場は、会議室や郷土資料館・及び多目的広場などある湯河原の観光会館です               
 こちらの業務として、日常清掃・定期清掃・害虫駆除・空気環境衛生等を承っております。       
 当社が受注して5~6年目になります。
 清水の本社から約2時間かかり、そうそう顔を出せる現場ではありませんが、常駐の女性が勤務に励んでくれております。 

                                                                
 もう1現場は、当社グループ関連の「ニューウェルシティ湯河原」です。 以前は、厚生労働省管轄のホテルでした。
 こちらでは定期清掃・建築物環境管理者選任・設備関係の保守・工事等を行っております。                     
 5階立ての本館横では、今年8月から日帰り温泉(いずみの湯)の営業も始まりました。 
 入浴料も1,000円で駐車場も完備されています。 是非ご利用下さい。 ミニ「万葉の湯」形式です。
                                                                                                        

     

カテゴリー: リフォーム・エクステリア, 営業, 定期清掃, 建築物環境衛生, 日常業務 | 現場紹介№4 はコメントを受け付けていません。

ビルメン会社の「管理部」ってどんなことしてるの?(その34)

 ・・・前回からの続きです。

 広報部署の重要業務として、カスタマーサービス(顧客の相談に対応する業務)があります。 一般的に「お客様相談室」と呼ばれているものです。 電化製品や食品・飲料水などによく見られますが、取扱い説明書やパッケージに「お問合せは下記のお客さまセンターまで」とあって、フリーダイヤルの電話番号が明示されています。
 今度、商品の包装袋やペットボトルのラベルとか見てみて下さい。 必ずあるはずですから。
 
 通常、「お客様相談室」にかかってくるのは、製品や商品・あるいはサービスに関する問合せが多いと思います。 この時ダントツに多いのは、”問合わせがクレームに転じる”こと。 このケース、見過ごせない割合を占めるようです。 クレームに対する対応は、ひたすら聞くに徹するということです。 ましてクレーマー相手の対応となれば大ごとです。

 一般論で言うと、広報部署を含め管理部門は、末端となる現場に一定の理解がないと、いい結果を生まないというのが結論です。 実は管理部門は表舞台に出る仕事なんて少なく、地道に会社と社会とのパイプ役を担うことが多いんです。 そして実際に担当する業務は、裏方の地味な作業や体力仕事が多かったりもします。

 では、次回へ・・・・・

カテゴリー: 総務・経理 | ビルメン会社の「管理部」ってどんなことしてるの?(その34) はコメントを受け付けていません。

お元気ですかーーーーー!!No,46

 どうも  どうも

 最近の残暑にも、困ったもんですねぇ。 観測史上最長とかで、もう9月も後半というのに、半袖でも暑い位です。

 暑いと言う事は皆さんもクーラーを使う時期が長くなり、季節外れの今日までも、故障対応に追われる事に成ります。

 実はある学校で、ドレンポンプの故障やらリニア膨張弁の不良、F3/U0/E4・・・2502・・・等々、エラーコードのオンパレード。

 ドレンポンプの交換工事やらガス不足・・・まだまだ不良解消まで、遠い道のりは続きます。  

 かと思うと、ここ2~3日雨が続き外に出るのも億劫なほど寒くなったり、都心では前日より7℃程度低かったそうです。

 いつ終わるんだろう?と思うくらい、各取引先で空調機の不良が続きます。

 多分、10月に入っても続くでしょう。 本来なら、商売になって嬉しいはずの修理工事も、こう続くと「飽き」がきます。 おまけに「値段が高い!」だの、「金が無い」だのと、最後には逆切れぎみで「点検させてやってるだろぉー!!この位何とかなんねぇーのか??」と、無理難題。

 ”機械が壊れるのは俺のせいじゃねぇーよ” ”予算が無いのも俺のせいかよ・・・”

 色んな思いも込めて、「わるぅーござんした!!」と、こんな毎日であります。

 それでも 何とかするのが僕のお仕事・・・お仕事・・・  ぎゃんばりやぁーす。

 毎回、愚痴ですみません。 毎度給料は子供に食い尽くされ、親父は食事制限で好きなものも食えず、隣でカツ丼食ってる同年輩を恨めし気に見ているだけじゃ、愚痴の一つや八つや二十、吐きたくもなるってもんです。 許してくんなまし。

 んじゃ!  又。  By,coo

カテゴリー: 常駐設備, 建築物環境衛生, 担当者の趣味、その他, 給排水設備, 自動ドア・昇降設備, 電気設備 | お元気ですかーーーーー!!No,46 はコメントを受け付けていません。

設備と工事に貴い峰を目指します。

 はじめまして。 今月入社したての中西貴峰と申します。 ちなみに「貴峰」は「たかね」と読みます。 「キホウ」でもケーシー「タカミネ」でもありません。 ごしんじょう療法(生命エネルギーの場を正しくする療法)の日本貴峰道協会とも関係ありません。

 先日、狩野窪部長のブログでも紹介頂きましたが、前職は設備全般(空調・電気)の現場仕事をしていました。
 特に、空調機の取り付けやメンテナンスなど多く手掛けておりました!(^^)!
 これからは設備管理工事課ということで、過去に体験した成功や失敗の反省を、十分に発揮出来る職場に出来たらと意気込んでいます。 皆様に喜ばれる工事に繋がるよう、日々精進・全身全霊・不撓不屈の精神で行きたいと思っています(^_^)/  知ってる相撲の四字熟語を並べただけですが。

 まだまだ解らないこと・気の利かないこと・パソコンの覚えの悪いことやら。。。いろいろあります。 

 なにぶん組織で働くのは初めての経験で、自分で自分を生意気な性格とは思っていませんが、あんまり尖がらないよう頑張っていきます。 何処かでお会いした際には、32歳の新人に温かい気持ちで接していただきますよう、何卒宜しくお願い致しますm(__)m

カテゴリー: リフォーム・エクステリア, 常駐設備, 建築物環境衛生, 担当者の趣味、その他, 未分類, 給排水設備, 自動ドア・昇降設備, 電気設備 | 設備と工事に貴い峰を目指します。 はコメントを受け付けていません。

桜橋そうじろうクンが名刺デビュー!

 こんにちは!朝夕だいぶ秋の気配が深まり、涼しくなってきましたね。 うかうかしているとあっという間に、年末がやって来そうな予感です^^;

 ハウスクリーニング事業部 『桜橋そうじろう』 も、年末の繁忙期に向け着々と営業活動の準備を進めています。

 前回ご紹介した本社設置予定の看板も、今月末の施工がきまりました。 現在は折込チラシの作成を業者と打合せ中、面白い仕掛けもできそうです! お楽しみに♪

 あ、そうそう 名刺ができました^^ 親しみやすいデザインです  ↓↓↓こんな感じ


 

カテゴリー: ハウスクリーニング, リフォーム・エクステリア | 桜橋そうじろうクンが名刺デビュー! はコメントを受け付けていません。

やっぱり道具?

 先日、ホテルのカーペット清掃立ち合いに行ってきました。

 聞けば前回の実施は、数年以上も前とのこと。 

 やっぱり・・・かなりのけもの道です(けもの道とは、歩行量が多かったり足裏の油成分が付着したりして、他より汚れている部分のことです)!

 今回は、カーペット清掃でお馴染みの「フォンス ワイエヌシィ」さんにお願いしました。 由比藤社長がじきじき、トラックマウント(車載型のカーペットクリーニングエクストラクター)搭載のハイエースで登場です。
 このシステム、アメリカを始め世界中で、カーペットクリーニングマシーンの最高峰として広く利用されています。 お値段も8ケタ!! 我が社の仕事量だと、ちょっと手が出ないかも・・・

 やっぱり道具の違い?? キレイだし早いし、改めてビックリです!!

 清掃を進めていくうち由比藤社長から、「このシミは前回、清掃を行った時の洗剤が残っていてその汚れですね」と!!

 さすがカーペット清掃のプロですネ! って感心してると、ウチがプロじゃないみたいみたいですね。

 そんなこんなで立ち会っているうち、予定していた時間よりだいぶ早く終わってしまいましたよ!

 作業終了後、ホテルの方に見ていただきながら事情を説明しまして、半年に一度は清掃を行った方がいいですよと提案もさせて頂きました。

 また、お仕事を頂けたらなぁ・・・

 と思っていましたら、別の階のカーペット清掃の見積もりをとのことです!

 すぐにフォンスさんと下見に。

 今日の成果が次の仕事に繋がっていくなんて、これに勝る喜びはありません!!

カテゴリー: 定期清掃, 特殊作業 | やっぱり道具? はコメントを受け付けていません。

Oldies but Goodies その3

 1982年12月7日、横浜の海岸通。 港にせり出した大さん橋ホール。 夕暮れの海を背に、エヴァン・パーカーのソプラノサックスが響きだす。
 するとそれまで、店のレコードで繰り返しかけては刷り込んだ音の大伽藍を期待する耳に、がらり印象の異なる演奏が続き、戸惑いを覚える。
 マイルドなのだ。 やわらかい音の連なりが、幾層に響こうとあくまで滑らかに、そして音量も決して大きくない。
 エヴァン・パーカーは「技術の人」だった。 誤解は承知で自分の印象を示せば、フリーの人達に多く見られるような、裡に潜む言語化不能なマグマを演奏行為によって噴出させるタイプではない。 純粋な技術の追求から発生する精神性こそ、強く感じさせる。 ライブというより、クラシックの演奏会に近いようなイメージ。
 端的に言って、拍子抜けした。 もっとトンガっていて、耳に痛いくらいの表現を望んでいたから。 でも、今聴いたらどうなんだろう?

 「聴く~? エヴァン・パーカー」
 じゃ、1曲・・・1曲だけ・・・。
 上機嫌のマスター、レコード・ジャケット見つめニコニコしながら、「これ、Incus(というフリー専門のイギリスのレーベル)の「1」だって!」

 あ~これ、店にあったなぁ。 デレク・ベイリー(Derek Bailey 1930年1月29日 – 2005年12月25日)のギター、ハン・ベニンク(Han Bennink 1942年4月17日 -)のドラムスだって。 知ってる人間にとっちゃ、すンごいトリオなのだ。 そして、(とっても限られた)知ってる人向けに自慢しちゃうと、ボク3人とも生で観てるもんね~フフーン、なのである。 

 A面1曲目「Titan Moon」。 タイタン(土星の第6衛星)にかかる月か! 何とイマジネーション豊かで、かつ、いい加減なタイトルだろう。
 
 エヴァン・パーカーのキュキョキョキョ・サックス。 ベニンクのドッシャングヮッシャンベシッ!ドラム。 そして協調しているような間を外しているような、絶妙な空間に鳴り渡るベイリーのギター。   http://www.youtube.com/watch?v=sq90NIJ9S7U

 ああ! やっぱデレク・ベイリーってすげぇ! 別格だと思った。 そして名古屋という異郷で、限りなく幸薄いこの演奏行為に、共感を持って受容する他者がいる僥倖に、深く感謝したのである。
 やっぱねぇ、毎日家で一人で聴いてるばかりじゃ、イカンのだよね。 ウォ、とか、ク~、とか時々呻きながら、そして曲が終れば潜めた息を深々と吐き出し、ちらり目を合わせて 「いや~、これが音楽だよねぇ」 などと、腕を組んでしたり顔で頷きあう。 ほ~ほっほっ、善き哉善き哉。

 ベイリーは求道者である。 ベニンクはひたすらカッチョエエし、エヴァン・パーカーは超絶技巧の奏者だが、両者からはどうしても拭いきれないジャズのイディオムを感じる。 だから即駄目というわけじゃないが、言ってしまえばジャズの土俵に立った場合、マスターの敬愛するセシル・テイラーなどを通過した耳に、ヨーロッパの白人の演奏からはどうしても限界のようなものを感じてしまう。
 セシル・テイラーは、濃く太い。 強靭でありながら、しなっても折れない。 ヨーロッパの彼らにとって、アメリカ黒人の音楽はキャリアスタートの指針となっていたはずだが、固く、一見堅牢そうでありながら、楔でヒビを入れればポッキン金太郎になりそうな脆弱さが漂う。 あくまで、比較すればの話だけれど。

 アメリカ黒人にとって、 “自由” とは理論以前の問題である。 前提抜きに “自由” は達成されていかねばならず、あらためて言語化の必要のないほどに肉体化されている。 彼らの表現から聴き手はいやが応にも、人間の自由や尊厳へと思いが至る。 知識からではない。 アート・ブレイキーのナイアガラロールがどんなに能天気に鳴っていようが、その底に深い悲しみが滲んでいるのを感知してしまうのだ。 
 
 ベイリーはどこまでもヨーロッパ人として、 “音楽の自由” と対峙する。 それはかつてのアメリカ黒人が希求し発展させたジャズの “自由” とは、バックボーンがまったく異なる。
 音楽は、放っておけば調性に傾く。 出鱈目に口笛を吹いていても、しぜん何らかのメロディを紡ぎだそうと、楽器など一切いじれない僕でも無意識にそうする。 流れの分断された一音一音を瞬時に創造するなど、出来るものではない。 吹き続けようとしても、ものすごく不安になるはずだ。 ましてそれがプロのミュージシャンとなれば、言わずもがなであろう。
 指が勝手に紡ぎだす “音楽” に抵抗しインプロヴィゼーションし続けるのは、弾けない素人が何とか “音楽” にしようと試みるよりも、はるかに困難な行為なのだ。

 ベイリーは徹底した修練によって、この課題を克服した。 あらゆる技法を習得し、マスターすることで逆に個々のシガラミから解放されようとした。 ギターにその時々の変化を加え、メロディやフレーズから脳を開放すべく励んだ。 まるで豪速球を敢えて封じた、星飛雄馬の大リーグボール三号である。
 そしてこのとてつもない、(はた目には不毛とさえ思われる)努力の積み上げによって達成される “音楽の自由” こそ、思想であり言葉ありきのヨーロッパ精神を象徴しているのではないか。 結果ではなく、思弁によって導き出されるその総体を、表現のよすがとして提示する。 思想に始まり、やがて肉体をこれに一体化させ、 “音” を精神そのものへと純化してしまう。 この人、孤高のミュージシャンである以上に、人生の、いやさ存在の探究者である。

 フツーじゃない音楽は、フツーじゃない精神の高揚を伴う。 音楽ってそんなもんじゃないよ頭じゃなくて心で聞くもんだよと、したり顔のおバカさんに反論までしないが、生き様と技巧がむき出しになったデレク・ベイリーのギターは、一聴の価値の必ずあること、断言しておく。

 グッドベイトをおいとまするとき、マスターはおっしゃったもの。 「いや~今日は久しぶりにフリー聴いて、初心に戻れた気がする。 どうもありがとう!」
 こちらこそ、ありがとう。

カテゴリー: 担当者の趣味、その他 | Oldies but Goodies その3 はコメントを受け付けていません。

ビルメン会社の「管理部」ってどんなことしてるの?(その33)

 広報部のつづきです。 今回も見えそうで見えない、広報部メインの業務です。
 
 広報部のドメインである「企業と社会の双方向のコミュニケーションを円滑にする窓口」としての主たる業務は、たとえば経理部が頑張って作成した決算書等を基に、IR活動(ビルメン会社の「管理部」ってどんなことしてるの?その13http://www.shizuoka-sbm.co.jp/blog/?p=2714)で世間や投資家に、会社の企業成績・企業体質や社会への貢献活動を広く告知することです。 ところで決算書自体は、数字と難しい漢字ばかりでいかにも無愛想、外部の人にとっては、判りにくい事この上ありません。

 しかし、会社の決算成績の内容を何とか知ってもらわないといけない。 そこで世間一般に理解してもらうために、分かりやすくアレンジする必要があります。 アレンジと云っても、数字を改ざんするわけじゃありません。 より理解を深めてもらうために、表現方法や見せ方をアレンジするんです。 これが広報部の仕事になります。 だって広報には、「企業と社会双方向のコミュニケーション」を円滑にする役割があるからです。

 「子供新聞」っていう週刊新聞を知ってます? あれは、普通は大人が見るような難しいニュースを、子供でも判るようにアレンジ・編集のうえ発行しています。 これと同じように、株主や世間にむけて「ウチの会社のポリシーはこうなんだ!商品に対する想いはこうなんだ!企業努力でこんなに利益を出すことができたんだ!よろしく!」ってアピールすることです。 つまりは、これが広報活動。
 
 ・・・だから広報部なんだけど。
 
 ではでは、またまた次回へ続きます。

カテゴリー: 総務・経理 | ビルメン会社の「管理部」ってどんなことしてるの?(その33) はコメントを受け付けていません。